黄金の赤い川

友に捧げる

ステージが終わってメンバーが並び、

リーダーであるケビンが一言スピーチで、

「僕たちは友達をいっぱい作ってくれた、この町が大好きです。

 今日はこの町のために歌とダンスが出来て良かったです」

と、小学生レベルの感想を述べたが、歓声は暖かかった。

 

薫ちゃんがケビンを見つめる視線が気に入らないが、

今回は素晴らしい経験が出来てケビンに感謝している。

 

だが、町ではほとんどの人に顔を知られてしまい、

日陰で暮らしている僕ですら、

たまにおじいちゃんやおばあちゃんに声を掛けられて、

とんでもなく時間差のアンコールを求められるのが、

嬉しいような、困ったような、今日この頃だ。

 

僕とダニエルはダンスについていくのが精一杯で、

歌はもう三人にぶん投げてまで、珍しく必死で真剣な顔をしているのが、

面白過ぎる。たまにはこういうのも、良いかも。

 

そして、歌とダンスが終わり、

ピアノとギターのソロが感動的に終わると、

お祭り全体から歓声と拍手が洪水になってやって来た。

ふつうにショーとしては大成功の部類に入る出来だった。

全員が前の人の肩に手を置いて、足をピンと伸ばして、

直立コサックダンスのように歩き、リズムに合わせて、

観客の方を向きながら、行進してステージに入場した。

 

そして、歌とダンスが始まって、メインボーカルのデブが、

素晴らしいソウルフルな歌声を響かせた。

 

デブは慣れたもので、僕たちと同じダンスをしながらも、

所々にロボットダンスやブレイクダンスっていうのか分からないけど、

上手いやつを織り込んでいる。

 

マイク・ケビン・メガネは完璧チックにダンスが合っている。

マイクのダンスは迫力があるし、ケビンの歌とダンスにはセンスを感じる、

さらにメガネが歌もダンスも上手いなんておかしいだろ、

でも三人とも、ちょっとカッコいい。

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